経営倫理士ならではの「頭の体操」

経営倫理士ならではの「頭の体操」

詭弁・誤謬の三軸チェックリスト(例)


◆三軸の意味づけ
理 論:価値観や倫理観の前提自体に誤りがあるケース(例:相対主義、主観主義、偽の対立構造など)
方法論:判断・意思決定の手順や仕組みに欠陥があるケース(例:独断、形式主義、慣行依存)
実践論:現場での行動や制度運用の欠陥(例:不作為、沈黙、儀式化)

チェック項目 詭弁・誤謬の名称 理 論 方法論 実践論

個人倫理-1
「自分の信念に従っただけ」としていないか?

客観的倫理基準を無視して自己正当化していないか
➝【主観主義詭弁】

個人倫理-2
道徳的相対主義に逃げていないか?

「人によって正しさは違う」として責任回避していないか
➝【相対主義の誤謬】

個人倫理-3
「善意だったから問題ない」としていないか?

結果や影響を無視して動機だけで正当化していないか
➝【動機主義的誤謬】

個人倫理-4
過去の成功経験に固執していないか?

時代や状況の変化を無視して自己判断を正当化していないか
➝【過去指向詭弁】

個人倫理-5
自分一人で正解を出そうとしていないか?

他者の視点を排除して自己判断に閉じこもっていないか
➝【独断的誤謬】

個人倫理-6
「みんなやっている」から正しいとしていないか?

周囲の行動を根拠にして倫理判断していないか
➝【多数派論証】

個人倫理-7
自分の利益や保身を優先しすぎていないか?

利益相反を無視して自分に都合の良い判断をしていないか
➝【利己的合理主義】

個人倫理-8
感情に支配された判断をしていないか?

怒り・恐怖・同情などで判断を誤っていないか
➝【感情の訴え】

個人倫理-9
小さな違反だからと見逃していないか?

「少しぐらい」「みんなやってる」で容認していないか
➝【スライス論法(滑り坂)】

個人倫理-10
不作為によって問題を見逃していないか?

「見なかったことにする」ことで責任回避していないか
➝【無責任の誤謬】

個人倫理-11
通報・是正を避けていないか?

「波風立てたくない」などと沈黙していないか
➝【沈黙の共犯詭弁】

個人倫理-12
倫理行動が自己満足化していないか?

実質よりも行動アピールを優先していないか
➝【美徳誇示の誤謬】

組織倫理-1
利益と倫理が対立すると決めつけていないか?

倫理を「邪魔なもの」として排除していないか
➝【偽の対立構造】

組織倫理-2
「法令遵守しているから問題ない」としていないか?

合法性だけで倫理性を免罪していないか
➝【合法主義】

組織倫理-3
社是・理念が万能だと考えていないか?

抽象的スローガンに過信していないか
➝【標語依存の誤謬】

組織倫理-4
業界慣行に盲従していないか?

「どこでもやっている」で正当化していないか
➝【慣行主義的誤謬】

組織倫理-5
倫理委員会があることで満足していないか?

実質の機能不全を放置していないか
➝【名目主義】

組織倫理-6
倫理フレームワークを過信していないか?

形式を整えれば十分と考えていないか
➝【過信的形式主義】

組織倫理-7
リスクマネジメントと倫理対応を混同していないか?

法的回避=倫理対応と誤認していないか
➝【リスク回避主義】

組織倫理-8
社内の声が反映されない構造を放置していないか?

ボトムアップ型倫理が封殺されていないか
➝【権威主義的体質】

組織倫理-9
倫理研修が年1回のイベントで終わっていないか?

継続的運用・改善がなされていないか
➝【儀式化の誤謬】

組織倫理-10
通報制度が使われていない状態を放置していないか?

「制度がある=機能している」と誤認していないか
➝【見せかけ制度主義】

組織倫理-11
倫理違反を「個人の問題」として済ませていないか?

構造的問題に目を向けず懲戒で終わっていないか
➝【スケープゴート化】

組織倫理-12
SDGsやESGを掲げて満足していないか?

実質的実践と結びついていないか
➝【表層的CSR詭弁(SDGsウォッシング)】