経営倫理士の旅路 ― 個人倫理の修行譚
序章
遥か昔、未来を導くための「大いなる車」がありました
その舵を握る者を、人々は「経営倫理士」と呼び、深い敬意を抱いていました
しかし、その道のりは決して容易ではありません
試練が立ちはだかり、迷いが影のようにつきまとうものでした
ひとりの若き旅人が、その車を操るための修行に挑みます
彼は知っていました。車を動かすには —— 二つの車輪が必要だと
ひとつは「個人倫理」
もうひとつは「組織倫理」
どちらかを欠けば、車は進まず、未来は閉ざされてしまうのです
第一章 車の両輪としての倫理
師が語りました
「個人と組織は、二つでひとつ。両輪が揃ってこそ、車は真っ直ぐに進む」
旅人はこの言葉を胸に刻みました
彼は、己の心を鍛えると同時に、仲間の声に耳を澄まし、歩みを始めたのです
第二章 命としての均衡
道中、激しい風が車を揺さぶります
旅人は気づきました
片輪が重すぎても、軽すぎても、車は転んでしまう
「均衡こそが命」 ——
その真理を悟った彼は、学びと実践の両立を常に意識するようになりました
第三章 個人倫理は礎
試練の地で、旅人は仲間に語りかけました
「どんな制度も、最後に選ぶのは人だ」
仲間が誠実に行動するとき、組織全体の倫理は強固になります
旅人は見ました。小さな誠実の積み重ねが、大きな礎となることを
第四章 心が組織を変える
命令だけでは、組織は動かない
旅人は泉に石を投げ入れ、その波紋が広がるのを眺めました
「一人の意識が仲間に広がり、やがて文化を変える」
これが変革の道であることを知ったのです
第五章 倫理は人に与えられた特権
師の教えが旅人に響きます
「倫理を持てるのは人間だけの特権だ」
善悪を見分け、未来を選ぶ自由
その重みを背負えるのは人のみ
旅人はその言葉を誇りとして刻みました
第六章 善悪は流れと共に変わる
旅の途中、旅人は驚きます
かつて善とされたものが、今では悪とされている
時代と共に、善悪は流れる川のように形を変える
その変化を受け入れるしなやかさこそ、人の力なのだと悟りました
第七章 人は人の間に生きる
孤独では、道は続かない
旅人は仲間と協力し、語り合い、共に汗を流しました
そこで知ったのです
人は「人と人の間」に生きる存在
その連帯が旅を進める力となるのだと
第八章 人徳が社徳となる
仲間たちが徳を積むと、組織全体が光を帯びました
人徳が重なり合い、やがて「社徳」となり、社会に信頼をもたらすのです
旅人は確信しました
「一人の徳が、組織をも変える」
第九章 命の有限を知る
荒野を歩む中で、旅人は命の真実に触れました
生も死も、等しく誰にでも訪れる
その有限性を知るからこそ、
人は今を大切にし、他の命を敬うのです
第十章 宇宙の響き合い
旅人は夜空を仰ぎ、地を踏みしめ、己を見つめました
大宇宙(宇宙)、中宇宙(地球)、小宇宙(人間)
すべては異なるようでいて、同じ法則で響き合う
「私もまた、その調和の一部なのだ」 —— 旅人はそう感じました
第十一章 共生と仁の道
森で学んだこと
異なる存在と共に生きることは「仁」へとつながる
利他の心が共生を育み、共生が思いやりを深める
世界は、互いを抱きしめ合う力によって結ばれているのです
第十二章 自立が道を拓く
「他人任せでは道は拓けない」 —— 旅人は仲間に伝えました
一人ひとりが責任を持ち、自ら行動するとき、組織は力を増す
主体的な自立こそが、未来を切り拓く原動力だったのです
第十三章 当たり前の力
焚き火を囲みながら、仲間が言いました
「感謝すること。約束を守ること。誠実であること —— 当たり前が一番難しい」
旅人は気づきました
その当たり前を積み重ねることこそ、未来をつくる力であると
第十四章 歴史は道しるべ
旅の終わりに、旅人は歴史の声に耳を傾けました
過ちも成功も、すべてが未来への道しるべ
変化を受け入れ、時代に応じる者だけが、未来を築ける
旅人はその真理を深く悟ったのです
終章
こうして旅人は成長し、「経営倫理士」としての修行を終えました
二つの車輪 —— 個人倫理と組織倫理
それを磨き続ければ、必ず未来へ進める
個人の小さな光が集まり、大きな灯となり、やがて社会を照らす
旅は終わりではありません
次なる世代へと、静かに受け継がれていくのです
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本稿は経営倫理士コンソーシアムが、水谷雅一氏の想いを代弁して記したものです。
第9期:経営倫理士取得講座 テーマ《個人倫理の重要性とその確立》
水谷雅一氏の講義資料より
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